まちゅむらです。
最近「勢い」について考えることが多かったので日記程度に書きます。
・創作活動における「勢い」って?
ここでいう「勢い」は、簡単に言うと
どのくらいの時間をかけて作品を1つ生み出すか、ということです。
要するに「1作品にどのくらい時間かけるべきかな?」という
創作上の議題の1つです。
ん?全然要してねえな。
本当に「たださっさと仕事を終わらせたい」というだけで描かれた作品だと
ただただ雑でよそよそしいものになり、毒にも薬にもなりません。
かといって「もっと、もっといいものが描けるんじゃないか」と粘りすぎると、
作品を「完成」とするタイミングを逃し、いつまでも発表に至りません。
つまり、ほんとうに「勢い」だけだと勢いよく駄作が生まれるだけですが、
まったく勢いに乗れないと作品は離陸できません。
なんかちょうどよい着地点はないのでしょうか?
・作品完成にちょうどよい「勢い」をどう決めるか?
この「勢い」の問題。各作家さんの作家性とか、
本人のライフステージなども絡んでくる(気がする)ので
なかなか「こうすればいい」と1つ解答が飛んでこない厄介さがあります。
(〆切がその「勢い」を生むんじゃね?という話をして終わりにすることもできますが、あえて違う観点から記事を書くずら。)
しかしながら、個人的に思うポイントが3つだけあるのでここに書きます。
①まだ1つも漫画・画集などといった「売り物」を作ってないひとは、さっさと作って売りに出すべき(はやく社会に試されるべき)
②すでにいくつか作品を発表・発売している作家さんは、「自分はどのくらいのページ数の本なら、1日あるいは2日、あるいは1週間で完成させられるか(ぎりぎり最低限売り物になるものが生み出せるか)」みたいな、RTA的チャレンジを一度どこかでしておくのはよいかもしれない
③ ①、②をやってみたうえで「やっぱり腰を据えてじっくりやりたい」という場合はそれはそれで走らせたらええんちゃう
以降、順番に説明するです。
①まだ1つも「売り物」を作ってないひと
このステージの人は、たとえばBOOTHやsuzuriなどの通販サイトでも売るものがなく、コミティアなどの創作イベントにも持っていけるアイテムがひとつもない状態の方です。
「作家としてやっていきたい、絵で食べていけるようになりたい」という気持ちがある人で、この状態が数年単位で続いている場合、ちょっとくらいは焦ったほうがいいんでないかな、と個人的には思います。
単純に、売るものがなければ収入が発生しないからです。
(学生なら一応話は別。たとえば大学出た後なんとなく「作家なりたいな~」みたいな時間を漫然と何年もすごさないことが大事)
「もっとうまくなってから」とか、言い分がいろいろあるかと思いますが、ここの状態はこじらせるとほんとうにきつくなるので気を付けたほうがいいと思います。
(30歳とかを過ぎてまだこの辺をやっていると、まじで次第に「社会」が応援してくれなくなってくる可能性がある。社会は冷たい。若さが味方するうちに、なるべく早いうちに社会に試されたほうがいい。と思う...)
で。このステージの彼らに必要なのは、
たとえばこういう「勢い」なんじゃないかなと思っています。
それは「いまは未熟でこういうレベルのものしか出せないんだけど!だいたいこういう感じのことがやりたいんです!」
ということを、まず1冊本にしてバンと出してしまう、という「勢い」です。
まずそこを発表しないと、周囲もあなたをどう応援したらいいかわかりません。
「どこにいきたいかもわからない」という人を周囲が応援することは難しいです。
「もっと達者になってから...」と先延ばしにしたい気持ちは痛いほどわかりますが、
まずは「つくって、売る」という当たり前の流れを一度でよいのでちゃんとやってください。
繰り返しですが、じゃないと収入が発生しません。さっさとなんか出してください。
で、イベントで売れなかったら、今度は違う工夫をするのみです。
イベントで売り上げを出すことは、このステージより次の問題なので、
①のステージの人はまだ心配しなくて正直結構です。
②すでに何本か漫画描いたり同人やったりなんなりしてる作家さん
何本か自分で作品を描いて発表していると、
「もっと締め切りに追われずにじっくりやったらどうなるんだろう」とか、
自分のやったことのない創作リズムにチラッと興味が沸いたりする可能性があります。
(松村自身はそうでした)
②のひとはたぶんそういう時期かも。
で、個人的には、このタイミングで一回創作RTAをやってみるといいんでないかなと思います。たとえば、
・物語も勢いよく終わるかんじ(整合性とかおいておく感じ)
・ページ数も4~8ページくらい
・中身は気楽にリラックスして、表紙だけは頑張る
・脱稿までに2日、長くて7日
というかんじで、とにかく自分にとってもっともコンパクトなカタチで1冊作る、という経験を何度かやっておく。(↑は一例です)
たぶんこれをやっておくと、最低何日あれば自分は新刊を用意できるのかがだいたいわかってくるので、とにかく精神衛生に良いです。
で、新刊のあるなしだとやっぱりイベント参加のテンションというかモチベーションみたいなものも変わります。マンネリとかにならなくていいかんじ。
(で。これは個人的な反省なんですけど、
②のタイミングでいきなり長編オンリーにトライして1年潜る、みたいなことをするとかえって創作ペースが狂ったりします(ナックルビッグシルエットを書いてたあたり)。
いつもと違うボリュームのものにトライするのはよいのですが、
・長編になるぶん、「つくって売る」のリズムが長くなり、創作活動の「勢い」が弱まる
・イベントに用意する「新刊」のない状態がつづいてしまい、イベント参加のモチベーションなどに支障が出る
などのはっきりとしたデメリットがでてきます。他の仕事と掛け持ちしたり、イベント近くになったら一度長編を中断して短編を作ってイベント新刊を用意する、などの賢く柔軟な対応をしたほうがよい気がします。)
・自分にとっていちばんコンパクトな「勢い」を知っておくことが大事
↑で説明した創作RTAの目的は、自分にとってのいちばんコンパクトな素振り(すぶり)のフォームを改めて理解することです。
単純に、自分のやりたい表現がよりはっきりしてきたりします。
限られた時間とページ数でむりやり作るので、
「ほんとうにやりたいことと、実際にできること」の圧縮されたものがそこに出てきます。
要するに、作家としての自己理解に大いに役立ちます。たぶん。
数本漫画を描いて「これからどうしようかな...」となっているかんじの方は、1回やってみるとなにか理解するかもしれません。
③そのうえでじっくりやりたいというじっくり勢
で。①とか②を経たうえで、
「長編」ですとか、制作自体が半年、1年以上にわたるような創作活動になった場合、「勢い」をどう管理するべきでしょうか、という問題。
これは今松村自身が抱えている問題なので「こうすべき」という解答を書くには至りません。書き終わったらなんかあらためてしゃべります。
ただ、ZEBRA短編やデザフェス新刊でちょっとコンパクトな作品をつくるのが重なったことで、自分が作品の中でやりたい「勢い」について思いがけず理解が深まった節があり、今書いている長編BD(といっても、ページ数55~70程度予定)の制作がまたやっと動きはじめた感じだったりしています。
体感ですが、あきらかにいい影響が出てきている。
・結論
つまり、長編にトライしているけどぐだってきた、というひとについては、あえて気晴らしに短編を書くと「勢い」が復活しうるという主張がしたかった記事なのだ!!!!!!!どわお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
おわり!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
~fin~